REVTeXで書いた論文をarXivへ投稿する

開設以来、何も更新しないままフランスから帰国してしまいました。レンタルしてるサーバはwordpressの管理画面に国外からアクセスできないため、VPN接続で一旦、日本国内のサーバにアクセスする必要があります。ところが日ごろ勤務していた研究所のeduroamではVPN接続が拒否されてしまいます。自宅では更新する気が起きないまま、半年経ってしまったのでした。

今回はarXivへ投稿した話です。2018年9月にアルメニアで開催された国際会議Thunderstorms and Elementary Particle Acceleration (TEPA) 2018に参加してきました。アルメニア・ロシアの研究者を中心に各国から総勢40名の研究者が集まって議論するこじんまりとした会議で、大型会議ではなかなかできないディープな議論ができた良い機会でした。

その会議のプロシーディングスを準備していました。フォーマットの指定がなかったので、見栄えが良いPhysical Review系 (Physical Review Letters: PRL は物理学界では最も有名な論文誌ですね) のテンプレートを使用しました。このTeXテンプレートはREVTeXというパッケージが使われています。通常のTeXのコンパイラ (私の環境ではMacTeX+TeXShop) でもLaTeXと同様にコンパイルすることができるようです、

TEPAの主催者へプロシーディングスを投稿したので、arXivにアップロードしようとしたのですが、論文中の図が表示されないというトラブルが発生しました。調べてみるとpdfdvimxが悪さをしているようで、次の記事が参考になりました。

http://www.logos.t.u-tokyo.ac.jp/~hassy/deep_learning/arxiv/

画像を挿入するパッケージで
\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
を使う代わりに
\usepackage[pdftex]{graphicx}
を指定するとarXiv投稿時にコンパイルされたファイルで、正常に画像が表示されました。

雷雲ガンマ線のプロジェクトチームでは、以前からLaTeXの共同編集をするためにShareLaTeX (現在はOverleafに統合されました) を使用していましたが、こちらもREVTeXのPhysical Reviewフォーマットでは図が表示されないというトラブルが有りました。この場合も症状はarXiv投稿時と全く同じだったので、上記の対処法でうまくいくかもしれません。

arXivのポリシーとしてTeXソースでアップロードしてほしいというのはまあ理解できます。ですが、コンパイルの際にエラーが出たり、生成物が意図したものにならず、それで研究者の数時間を潰してしまうのはなんとももったいない話です。

アップロードしたプロシーディングスは、公開され次第、メインページに追記します。