NASAのGoddard Space Flight Centerが提供する天文衛星のデータ解析ツールHEASOFTをインストールします。環境はmacOS Catalina 10.15.6 (intel Mac) です。
インストールを開始する前にXQUARTZをインストールしておきます。
今回は最新のバージョン6.28をインストールします。最近はコンパイラのバージョンを指定しないとコンパイルに失敗してしまうようです。GCC10を使うことを指定されていましたので、
brew install gcc@10
でGCC10をインストールします。環境変数を
export CC=/usr/local/bin/gcc-10 export CXX=/usr/local/bin/g++-10 export FC=/usr/local/bin/gfortran-10
と設定します。例えばZSHを使用している場合は~/.zshrcに上記を書き込んだあと
source ~/.zshrc
とします。ここまでできたら以下のようにコマンドを打ってインストールします。
mkdir -p ~/work/install cd ~/work/install mkdir heasoft cd heasoft wget https://data.darts.isas.jaxa.jp/pub/legacy.gsfc.nasa.gov/software/lheasoft/lheasoft6.28/heasoft-6.28src_plus_older_xspec_modeldata.tar.gz tar xzvf heasoft-6.28src_plus_older_xspec_modeldata.tar.gz cd heasoft-6.28/BUILD_DIR ./configure make make install
インストールできたら~/.zshrcなどに
HEADAS=$HOME/work/install/heasoft/heasoft-6.28/x86_64-apple-darwin19.6.0 export HEADAS alias heainit=". $HEADAS/headas-init.sh"
と記述します。macのバージョンによってフォルダ名 (x86_64-apple-darwin19.6.0) が変わるので、各自で確認してください。
source ~/.zshrc
とすれば、xspecやfvなどが利用できるようになります。
上記の場合、ソースコードはISAS/JAXAのミラーサーバーからダウンロードしました。GSFC/NASAのサイトからもダウンロードでき、必要なFTOOLSを選択できたりと一見便利そうに見えますが、実際にはダウンロードに非常に時間がかかります (場合によっては10時間から1日くらいかかる?)。したがってすべてのFTOOLSを入れることになりますが、日本国内からアクセスする場合は、ISAS/JAXAのミラーページからのダウンロードを強くおすすめします。
なお今回はXSPECのテーブルモデル付きのソースコードをダウンロードしました。ダウンロードしたデータの容量の大半がテーブルモデルですので、XSPECを使わない、輝線なんて知らない、冪関数で十分だ、超新星残骸よりもブラックオールが好きだ、といった方はテーブルモデルなしのソースコードでも良いかと思います。
(余談:和田は雷の解析でXSPECを使用しますが、使用するのは冪関数とガウシアンです。でも激変星の解析にはAPECやMEKALを使用するので、いざというときのために入れています。)